車同士の衝突を避けようとした結果起きる非接触事故では、直接ぶつかっていなくても、因果関係を考えて事故の原因となった車を加害者、回避しようとして事故を起こした車を被害者として扱います。そして被害者から加害者には損害賠償請求が出来るのです。そこで問題になるのは、過失をいかに証明するかということです。

 被害者は確かに事故を回避したわけですが、電柱や壁などにぶつかったのは被害者の車です。ですから、加害者が自分とは関係なく、被害者の車が事故を起こしたと主張すれば、それに対して論理的に反論しなければいけません。例えば街頭の防犯カメラや証人のように客観的な証拠があれば、どちらに過失があるのかを証明する事ができます。

 逆にいえば、十分な証拠を提示する事ができず、相手が否定しているのであれば、そのまま被害者の泣き寝入りとなる可能性もあります。そして、非接触事故は車同士が擦れた跡もないために、因果関係を立証することは容易ではありません。
しかしながら、最近ではドライブレコーダーの価格が大幅に下がったこともあり、事故対策に取り付ける車も多くなってきています。安価に取り付けているドライブレコーダーでも、事故が起きた時の状況を確認するには十分ですから、被害者が加害者の車を避けようとした状況が撮影されていれば、裁判でも被害者は有利に戦うことが出来ます。

 なお加害者が原因だとしても、過失割合については、ケースバイケースです。状況を考慮して、加害者と被害者双方にどの程度の過失があるのかを決めていくことになります。

 過失割合は、もしも被害者の車が他の車にぶつかったりした場合にも重要です。過失割合に応じて、被害者も加害者とともにぶつけられた車に賠償金を支払うことになるからです。